Hiroaki kojima
建築をはじめとして、インテリア、グラフィック、家具デザイン、ディレクションなどデザインを建築的視点で総合的に行います。
Common temporary products -Directing daily life-
日本デンマーク国交樹立150周年記念デザインコンペ
「Communication Beyond Woeds」優秀賞受賞作品。
未来の大島をむすぶ
愛媛県八幡浜市が主宰する大島交流拠点施設(仮称)デザイン設計競技応募案
大島の環境全体の結節点となり、点から線、面へと展開し、観光と生活が結びつくための契機となる建築を目指した。
模様家具
個人住宅の1室を納戸として活用するための家具。本プロジェクトの主軸は、家具の設計でありながら、周辺の整備も試みることにある。20年経過したライフステージの変化に伴い、漸次的アップデートを進めるプロジェクトの最初の一歩である。模様には、表面上に現れる図形と文字通り様子を模する、という意味が込められている。
この住宅は、3mm幅の目地が巡る木の目透かし張りが施された共用部と白いクロスのほぼ同形、同面積の複数の個室から成る。禁欲的で緊張感を感じる精緻な空間である。ところが、20年の歳月による生活の蓄積が輪郭をほどき、生き生きとした場になっている。時と共にモノやコトの情報がアップデートされ、質が変化している。現在の情報を拾い上げながら、過去、現在、そして未来への「空気を整える」ことを目指した。物理的な更新をする時には、既存の文脈の引き継ぎや読み替えの創造性があるかどうか、それが可視化されているかどうか、が一つの重要な視点である。そのためには、「有り触れたものの有り触れていない関係」が必要ではないだろうか。
メッセージ
合板・パンチカーペット・カッティングシートという有り触れた安価な素材を用いながら、その隣接関係のあり方により、例えば合板は「安価、ラフ」などの記号化された情報から多様な表情、情報を引き出そうとした。合板のレイヤーにカーペット、シートを組み込んだ。カーペットは、既存の目地を拡張するように30mm幅の目地、取っ手、蝶番として現れる。また、シートは合板の特性である経年劣化を透過しつつ、室内外の風景の映り込みや光の反射により、暗い廊下まで光を届ける。それぞれは固有の動きや現象、意味を持つモノや「明るくしたい」などの個別事の論理の集まりにより出来事の連続体である。
それぞれは確かなモノたちであるが、隣接関係のあり方がその中にフィクション性を生み、一種の抽象性を孕む。ざっくりとした方向性をつくりつつ、新たに加わっていくモノをあれもこれも味方にし、連鎖は続いていく。これまでの時間を包括した、より豊穣なシーンを持つ家になっていくことを目指している。
■建築概要
所在地:愛知県名古屋市
主用途:家具
寸法:w910 d600 h1650[mm] (計8台)
w210 d600 h1650[mm] (計2台)
施工:ニュウファニチャーワークス
設計期間:2018,04
施工期間:2018.05
肯定力を身につける-意味が重ね着されていく、これからに向けて-
日本建築設計学会発行の学会誌03における特集「建築の明日をひらく最若手の言論」に寄稿した。20代を中心とした、23組の論考である。
目白の間抜け
築45年ほどの賃貸でありながら、改修(DIY)可能とすることで、空室が目立ち始めた物件価値の回復を図っているマンションの一室の改修プロジェクト。
大きく分け、土間と居室2つのスペースの連続から成る。解体に表出したモノ、新しく設え直したモノ、それらの区別なく、様々な要素を用いて、室内外の連ぞと切断、空間の調整を行った。界壁のブロックには断熱や遮音を兼ねる中空層のポリカを重ね、天井の躯体には野生的な荒々しさを和らげるためツヤありのクリア塗装を施し、床には幅広の材を選定した。また、金属の質感を持ち、再現性の高い素材でもあるアルミテープを用いた仕上げも採用している。ピュアすぎる素材の現れを避け、やや間抜けで大らかな表情を持つことで、迫り来る隣の外壁をも要素として受容し、生活の重心が室内に偏りすぎてしまっている状況から抜け出そうと考えた。収納建具と床、廻縁を撤去した天井と壁、下がり壁と躯体、LGS半現しの壁、自主施工によるざっくりとした接合などモノとモノの取り合いにおいては、文字通り「間」が抜けている。
愛らしい色合いや度重なる設備更新による配管の現し、住人の自主施工による自転車置き場など大らかな雰囲気の公共部。全室が角部屋で、雁行配置の室とゆったりとした南北の空きを持つ住戸からなる建物自体を活かすよう、応答しながら計画した。
賃貸という公共性
本プロジェクトは、設計費を含めた約220万円を借主と貸主で折半している。貸主には、入居者が確定した状態での設備更新を含めた改修による物件価値上昇、借主には持出し分以上の価値を享受できるメリットがある。また、設計主には一定程度の設計料が見込まれ、小規模かつリノベーションが孕む労働と対価に対する懸念を和らげる働きがある。そして、貸主、借主、改修するであろう未来の貸主という複数の関係主体が見込まれ、対個人という「間」が抜ける。賃貸は複数の主体が入れ替わりながら利用するため、1室であろうと公共性があるのではないだろうか。すなわち、有限の中で多様な様相を受容する複雑性を持つ建築の創造に繋がると考える。
リノベーションは、建築を紡ぎ綴るための行為そのものであろう。古さを単なる装飾的に利用するのではなく、既存の建築がどのように読み替えられ、新しい意味をまとい、次の社会へ繋がるかを考えるべきである。「間抜けさ」を建築が持つことで、柔軟に意味を脱ぎ着できるのではないだろうか。
■建築概要
所在地:東京都豊島区目白
主用途:住居
工事種別:改修
施工面積:30.54㎡
施工:スリーエフ、自主施工
設計期間:2018.01-2018.03
施工期間:2018.02-2018.03
*all photo©Tsubasa K
ちいさなケンチクカ
透明/不透明の様々な幾何学をもった積み木パズルを形式として作成。それらが如何に転用や読み替えが行われ、ルールが変容していく中で設計できるのか、あるいは、設計のプロセスが如何に共有可能なのか、を思考したものである。初期設定が他者により更新されたり、誤読されるプロセスの拠り所はどこにあるのかを検証した実験である。
*2013 レモン展ポートフォリオレビュー 西田司賞
*2015 第6回建築コンクール「支える建築」栗生明賞
日本大学古澤大輔研究室ロゴ
「既存を最大限活かすクリエイティブな発想」を主軸に研究、実践、教育を行っている研究室のロゴマークのグラフィックデザインである。F(furusawa)D(daisuke)L(laboratory)の頭文字から、地と図の関係を逆転させるという単純な方法を出発点としている。それぞれの文字の幅や関係性の調整を行うことで、F・D・Lが浮かび上がるギリギリのラインを模索した。また、幅や形が異なる幾何学が、建築における配置や立面、ボリューム、平面、断面と建築の要素を想起させる。既存の方法を用いて、研究室のテーマをである、創造的な発想による、多面性の発露を表現した。
もうひとつの"部屋"
第8回エイブル空間デザインコンペティション応募案
「アートに暮らす」というコンペの提案に対し、空間を美術館に、日常を取り巻くものをアートに見立てた。白い壁面と構造体が現れる面の2面を持つ壁とそれを切り裂くように部屋を横切る長く連続した窓により構成される。ヒト・モノ・コトの見慣れた有り触れた日常の中の関係性のレイアウトを変化させようとした。アートの役割の一つである、「様々な関係の捉え方を変え世界を広げる」を2面性と連続窓を持つ壁という単純な構成によりアートと生活を関係を作ろうとした。
少女Aは粧う 他者性を用いた建築設計の試み
卒業設計において、建築の設計手法、建築の見方について思考実験したものである。敷地をお台場海浜公園に設定し、来るオリンピックを契機とした開発およびその後の持続可能な建築の使用を念頭にした東京村-お台場の複合施設-の設計である。